• 程暁農★「中共はスターリン型の冷戦を受け継ぐのか?」 2020年5月4日

    by  • May 5, 2020 • 日文文章 • 0 Comments

     最近、  中国共産党は二つの相反する道を邁進している。  対米関係ではスターリンを模倣し、  徐々にアメリカとの冷戦に向いながら、  一方では、  世界経済が早く正常に戻り、  中国経済が再び「経済グローバル化1.0.」の恩恵を、  また享受できるようになることを期待している。 

     しかし、  この2つの道は共存できるのか? 実際、  新型コロナ流行との戦いが始まった後、  中共は世界的な責任追及を逃れるために隠蔽を否定し、  米中関係を悪化させた。  それだけでなく、  経済のグローバル化の中で、  中共が築いて来た優位な立場を著しく弱め、  経済状況を悪化させ、  最終的にはスターリン主義的な冷戦パターンに陥ったのである。 

     ★米中は流行病との戦いから経済戦へ?

     中国から世界に広がった新型コロナウイルスは、  5月3日現在、  世界180以上の国と地域で344万人に感染し、  24万4千人の命を奪っている。 

      中国のほか、  最も影響を受けた20カ国は、  米国、  スペイン、  イタリア、  英国、  ドイツ、  フランス、  トルコ、  ロシア、  イラン、  ブラジル、  カナダ、  ベルギー、  オランダ、  インド、  ペルー、  スイス、  ポルトガル、  エクアドル、  サウジアラビア、  アイルランドである。 

      これにより、  世界中の人々の生活が深刻に脅かされると同時に、  ほとんどの国に極めて深刻な経済的被害と個人の財産の損失をもたらした。  中共は世界の人々からの批判の的となって、  一匹狼のように四方八方で吠えたり噛みついたりして孤立している。 

     中共のこの疫病ウイルスの真実隠蔽の大半は、  すでに公開のものとなっている。  まず、  真実を語る医師を弾圧し、  次に、  華南海鮮市場に行っていない人は大丈夫だと言い、  次に、  世界保健機関(WHO)に人から人への感染はないと表明させ、  最後に、  未発症者は感染していないと宣言した。  これらの嘘は全てマスコミを通じて明らかになっており、  その隠蔽体質は悪名高い。 

     RFI(フランス国際ラジオ)中国ウェブサイト4月28日には、  科学雑誌ネイチャー研究の結果を発表、  中国は、  新しいコロナ ウイルスが感染した最初の段階で真実を通知していた場合は、  世界的な流行の広がりを 95% 削減することができたとしている。 

     このニュースは、  伝染病が中国で最初に勃発した場合は、  世界の大多数の国々よりも何倍も深刻になるという事実を暗示している。  なぜなら、  伝染病の隠蔽は権威主義体制の常であって、  制度的な行為であり、  過去もそうだったし、  今もそうだし、  今後もそうだからである。 

     流行の深刻な被害を前にして、  中共の国際広報は、  第一に、  流行を隠蔽して責任を回避し、  いかなる批判にも怒り狂う。  第二に、  中共の権威主義体制が流行を隠したことを世界に忘れさせ、  流行の発生国から流行の被害国になりすまし、  発生国としての国際的な説明責任を回避しようとするという、  二つの特徴を持っている。 

     このようにしたことで、  中共は自らを窮地に追い込んだ。  第一に、  世界的な責任追及を避けるためには、  隠蔽を否定するしかない、  第二に、  国際社会の独立した調査に耐えられないため、  外部調査を拒否するしかない。  だが、  その結果、  隠蔽の存在が却って証明されてしまう。 

     最後に、  責任追及の圧力があまりにも大きかったため、  そうした声に逆捩じをくわせるしかなく、  国際社会の不満と敵意を増大させることになった。  このような状況下で、  中共の一匹狼状態を解消させるのが困難なばかりか、  国際社会との対立を招き、  相互信頼と協力の余地がどんどん縮小している。 

     こうした背景から、  米国主導の中国共産党に対する説明責任の要求は、  米・中関係を貿易戦争・疫病戦争から経済戦争へと向かわせた。  国際司法の無力・無能さ、  米国内での司法判断による効果的な追及が困難であることから、  最終的には米国政府の行政手段に頼ることになる可能性が高い。 

     その行政手段が中共の公用資産の差し押さえにせよ、  経済制裁の一層の強化になるにせよ、  中共の強い反発と対抗措置を招くことは確実である。  これまでの米・中貿易戦争・疫病戦は、  経済戦争、  すなわち二国間の経済活動の面で対立する状況にまでエスカレートしていく可能性が高いと考えられる。 

     ★中共の第2次冷戦工作?

     この流行に先立ち、  中共は米国に対する一連の軍事的脅威となる行動を開始した。  最近の代表的な出来事としては、  第一に、  海軍艦隊と電子スパイ船がミッドウェー島の米軍基地に出撃し、  米軍を想定して、  空軍、  ロケット軍、  戦略支援軍との高度な多軍合同演習を行った。 

    第二に、  南シナ海の公海を掌握し、  同島に軍事基地を建設した後、  ベトナムやフィリピン付近の公海を、  戦略原潜が核弾頭の大陸間ミサイルで米国を攻撃するための「要塞海域」に改造したことを公然と宣言したこと、  の二つが挙げられる。 

    この2つの動きは、  1962年にソ連がキューバに、  米国に向けた核ミサイルを設置してのと同じように、  米軍に対するあからさまな挑戦の意図に満ちている。 

     キューバミサイル事件は、  米ソ間の一触即発の核戦争危機だった。  しかし、  この事件は同時に、  一種の核の脅威を緩和させるプラスの効果もあった。  つまり、  この両核大国が、  核兵器を弄ぶ巨大な危険を認識し、  「部分的核実験停止条約」が生まれた、  のちに「核拡散防止条約」になったのだ。 

     それから30余年を経て、  中共は核兵器システムを開発し、  十分な核兵器を備蓄してから、  やっと1996年に「核実験全面禁止条約」に署名した。  最近の中共の軍事上の直接米軍を威嚇しようとする動きから見ると、  中共は未だに米ソ冷戦から学ぶべき教訓を得ていないようだ。  それどころか、  まさに今、  軍事力を増強し、  米軍を威嚇できる軍事大国になったと、  ほくそ笑んでいるようだ。 

     中共は好戦的な歴史的記録を持っている。  最近の動きは第2次冷戦工作の始まりへの練習のようだ。  米ソ冷戦時代の数十年間、  中国共産党は、  観客ではなく積極的に参加していた。 

     先の冷戦時代、  当事者全員が参加した三大限定戦争は、  米・中朝鮮戦争、  米・中ベトナム戦争、  旧ソ連のアフガニスタン戦争であった。  三つの戦争のそれぞれにおいて、  米ソの地上軍は直接対決を避け、  代わりに自分たちの代理軍に他方を交戦させた。 

     と言うのは、  この両核大国は、  ともにこうした戦争から得た教訓として、  双方が直接交戦すれば軍事上の勝利を求めて戦術核兵器の使用を誘発し、  それが通常戦争から核戦争になりかねないこと、  核戦争には勝利者などいないことを承知していたからだ。 

     だから、  核大国は核兵器を使用しないということは、  双方が衝突しても守るべき鉄則となった。  ゴルバチョフソ連元首相は、  1987年に「社会主義者も資本主義者も、  正義も犯罪者も、  核爆発はすべてを一掃するだろう」と言っていた。 

     国際社会は、  先の冷戦を米ソ間の対立と見ていたが、  しかし、  前の2回の限定戦争には、  米ソ以外にもうひとつの第三勢力がいた。  すなわち中共である。 

     中共は、  朝鮮戦争ではソ連の代理人の役割を果たし、  ベトナム戦争ではベトナム共産党が中共の代理人となった。  米国の歴代政策決定者は、  核時代の冷戦中に、  一つの共通認識として、  冷戦は戦争の勝利を目的とせず、  必要とあればすぐ撤退すべきだという考えがあった。 

     中国もはっきりこの点を知っていた。  なぜなら、  朝鮮戦争、  ベトナム戦争、  金門島砲撃戦の間、  毛沢東は米国の立場を何度もテストし、  限定戦争(ホットウォー)を核戦争に発展させることは許されないという米国の政策立案者の確固たる決意を明らかにしているからである。 

     しかしながら毛沢東は、  これを逆に、  「軍事摩擦を起こしても必ずしも核戦争にはならない」チャンスだと捉えた。  だからこそ、  今の中国共産党は軍事力を充実させた今、  あえて米軍を挑発する理由だ。  つまり、  ソ連の冷戦経験は、  戦争を弄びエスカレートさせてはならない、  だったが、  中共は、  ホットウォー恐れることはない、  という結論を得ており、  だから今や新冷戦の道を歩んでいるのだ。 

    原文は 中共继承斯大林式冷战?

    中国 何清漣

    中国2018 中国2017 中国2016 中国2015

     ★中ソ冷戦の異なる動機

     前の冷戦は、  イデオロギー対立を前提とした大国同士の対決であり、  核の脅威を手段として利用していた。  いわゆるイデオロギー的な敵対関係とは、  ソ連と中共の双方が、  米国を中心とする欧米の民主主義国家に対してイデオロギー的に敵対する必要性を指している。 

     スターリン時代のソ連は、  共産主義世界と資本主義世界の平和的共存の可能性を信じていなかった。  クレムリンの国際情勢認識には、  強い強迫観念があった。  そして、  米国の方は、  共産陣営の世界的拡大が自由世界に連続的な衝撃の「ドミノ」効果を生み出すことを危惧していた。  思想的対立に基づくこの冷戦は、  宗教的闘争の「二つの宗派」と類似している。 

     しかし、  米ソ間の「二つの宗派」の闘争は、  のちに毛沢東の対ソ挑戦となり、  中ソ間の「二つの宗派」的闘争に変わった。  ソ連共産党は、  フルシチョフ時代にレーニンの資本主義と共産主義の不可避的な戦争というドグマを否定した。  彼は、  各時代に両大国陣営間の「平和共存」を訴えたのだった。 

     しかし、  毛沢東は、  共産陣営のイデオロギーのリーダーとしての地位を奪取するために、  ソ連共産党に挑戦し、  「ソ連の『平和共存』は、  西側への”投降”である」とする、  いわゆる「中間地帯理論」を持ち出した。 

     米ソ両超大国の間には、  大戦争は起こらないが、  アジア、  アフリカ、  ラテンアメリカなどの「中間地帯」では、  中共は第三世界の武装闘争を支援することによって、  リーダーとなると言うものだ。  当然、  毛沢東は、  自分が共産陣営の正統であり、  ソ連共産党は『修正主義」なのだとアピールしたのだった。 

     中ソ対立、  ソ連と中国共産党の核戦争の危機に瀕した正念場に、  アメリカが毛沢東を助け、  毛沢東は米ソ冷戦に(米国側として)参加した。 

     毛沢東のイデオロギーは完全に破綻していたのだ。  しかし、  その “遺伝子 “は後継者によって “取り除かれた “わけではなかった。  鄧小平以来の中国共産党指導者たちは、  国際関係において、  民主主義に対するスターリン主義的な恐怖心を捨てたことはないし、  冷戦のイデオロギー的衝動が残る毛沢東の第三世界観を捨てたこともない。 

     中共政権は依然として、  冷戦時のイデオロギーを持ち続けている。  いわゆる「韬光养晦」の方針とは、  こうしたイデオロギー的敵意を捨てたわけではなく、  ある種のオポチュニズム的策略であって、  それが养精蓄锐”、  “徐图再起”なのである。 

     中共経済の市場化は冷戦の前提を無くしたかといえば、  答えは「イエスであり、  ノーでもある」だろう。  「イエス」は、  中共が資本主義に対して抱いていた敵意はなくなった。  と言うのは、  その経済改革は最後には資本主義経済体制を選ぶことによって、  共産党政権を強化したからだ。  「ノー」とは、  中共のスターリン型民主主義恐怖症が終始存在することだ。  だから、  米・中の新冷戦は、  「二つの宗派」の争いであると主に、  「二つの政権」の闘争でもあるのだ。 

     ★グローバリゼーションの主人公たちは、  新たな冷戦を恐れていないのか?

     中共は、  この20年間、  経済のグローバル化の大きな恩恵を受けてきた。  その国力充実も、  軍事力の増強も、  すべてがその恩恵を受けている。  今はアメリカに挑戦して、  ソ連よりも効果的に世界を支配できるほど強いと本気で思っているのだろうか?

     確かに、  中共が内外のプロパガンダで推し進めている「台頭論」はそのようなトーンを持っている。  しかし、  今すぐに対米軍事衝突を起こすつもりはなく、  むしろ経済のグローバル化が、  現実的な制約となっていることは重々承知しているのだ。  対米関係が本当に緊張状態になってしまえば、  再び経済のグローバル化によって自国経済の安定を維持することは困難になるだろう。 

     新型コロナ伝染病流行の事件以前、  中共が技術や軍事機密を大量に盗み出したことに対する米国の実質的な制裁を逃れようと、  米・中貿易戦争では、  戦いながらも後退していた。  そして、  対米武力デモンストレーションはその威嚇手段の一つであり、  今年、  軍事的に行った二つの代表的な事件は、  それが目的だった。 

     しかし、  新型コロナウイルスの大流行以後、  形勢は急転直下で、  現在中共にとっては、  確かに、  えらいことになりそうな形勢なのだ。  空前の国際的圧力に直面している。  そして、  米国が今後行いうる経済制裁には、  単純な貿易戦争だけではなく、  「新型コロナ疫病戦」としての必要性もふくまれかねない。 

     今、  中共は、  ある程度、  前世紀のスターリン主義的冷戦パターンに陥りそうになっているようだ。  しかし、  スターリン主義的な共産陣営全体という緩衝材は、  もはや存在しないから、  一匹狼として単独で戦っている。  米・中関係は、  「蜜月」がなくなっただけではなく、  空前の高度な緊張状態にはいったのだ。 

     前の冷戦では、  毛沢東は、  共産党陣営から「逆らって逃亡」して、  米国の対ソ連戦線に加わって、  ソ連に「2正面作戦」を強いて、  その国力を削いだ。  今回の冷戦では、  毛沢東の役割は、  逆にロシアのプーチン大統領が演じているのかもしれない。 

     現在、  中共の「勃興」と言えば、  もう無残な有様で、  本来は軍事と経済貿易で達成するはずだった覇権への台頭の夢は雲散霧消した。  経済グローバル化の主な受益者であり、  「台頭」論を標榜していたところから、  短期間で「紅い一匹狼」になってしまったのである。  中共の台頭は毛沢東に起因した。  しかし、  その衰退もまた毛沢東の「遺伝子」の「功績」なのである。  (終わり)

    原文は、中共继承斯大林式冷战?
    これまでの何清漣さんの論評の、翻訳はこちら

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